今日は2015年11月からわたしの相棒になった鋏のことを少しお話します。







今わたしは、大阪にある『武芸』さんというシザー会社の鋏を使用しています。


美容師さんなら絶対に知ってる超有名店。


その前は3Dハンドルのこれもまた超有名なナルトさんの技術者さんが独立されて作った会社の鋏を使用していました。

それもまたこだわりの強い鋏で、この鋏をつくって下さったの職人さんに直接研いで貰わないといけないようなものでした。


スタイリストになる時に、一生ものを買おう!とローンを組んだものです。(なにせ一本6桁のお値段。。。)

そんな旧相棒。






今の鋏はこの鋏のように、私たち美容師が"何人ものお客様を担当させて頂いても指や手に負担がかからないように"と、鋏のハンドルが3Dに曲がっているものが多くあります。


そして、それを選ぶ美容師さんも圧倒的に多いそうで、ふつうのハンドルを選ぶ人はごくごく稀だと武芸の社長さんも言っておられました。



昔は、鋏にからだを合わせるからだの使い方をしていたけれど、今はだんだんとからだに鋏を合わせるようになっていってしまったんですね。


それほどに私たちはからだの使い方も柔軟性も変わってしまったということなのだと思います。


しかし一見楽ちんなように感じても鋏の中心が捻れているので、長く使うとわたしのからだに捻れの力が伝わったのか、腱鞘炎になりました。

まっすぐだから、まっすぐ力(エネルギー)が伝わる。
捻れることで、上手く氣が通らなかったのだと思います。



そんなこんなで新しく選んだ鋏は30年以上前に産まれた中古の鋏でした。


わたしと同じくらいに生まれた鋏。



社長さんが雑多な引き出しから出してきてくれたこの鋏が
わたしにはとても洗練されて輝いてみえました。







それ以来、わたしの相棒です。







上が3Dハンドル。
下はノーマルです。


持ち比べて動かしてみると、指への力の入り方、刃への負荷のかかり方が全然違います。

3Dハンドルはその分切れ味を良くするようにコバルトなどの固い材質が混ぜこまれていたり、錆びないなど材質などはこだわっているようです。


(ですが、不純な金属が増えることでのマイナス点もありそうだと感じます。)



包丁で考えると分かりやすいですが、料理人の包丁をからだの負担になるからと持ち手をねじるでしょうか?


ねじれた包丁では食材がちゃんと切れないことは分かると思います。


お野菜やお魚を切ることも『命をたつこと』ですが、
髪は生きている人にくっついているので、更に『命をたつ』ということを意識したいと思っています。


なるべく負荷をかけずに髪を断つこと。



生は死のうえに成り立っている。


お役目を全うし、命を落としてゆく髪もまだまだお役目がある髪も、
各々の命を活かす調髪を目指してゆきたいです。